この記事はヒロハタというプロジェクトに関わった人がみんなが「参加してよかった」って思えるようになって欲しいから書いている。 そして、広島県に限らず市民が自治体に振り回されないようになって欲しい。
ひろしま発人材集積促進プロジェクトというプロジェクトが広島県によって実施されている。 現在、「ウェブ分野」と「デザイン分野」が実施されており、ウェブ分野の通称が「ヒロハタ」である。(たぶん)
脱線するが、デザイン分野はあまりウェブに情報がない。ウェブ分野はウェブ分野だけあって、ウェブにそこそこ情報がある。素晴らしい。
話を戻す。ヒロハタがスタートして1年経過した。そこで今回、中間発表が行なわれた。 中間発表の肝は中間にも関わらず、現時点で優秀なプランがあれば奨励金として100万円が提供されるそうです。
その中で感じたのは、ヒロハタの現場と県の審査基準のズレである。
この記事では、その話と私が発表した内容についての話をする。
本記事の概要は次の通り。
- ヒロハタは「広島の鷹野雅弘」を育てるのが目的ではないのか
- スタートアップに必要なのはウェブデザイナーではなくてエンジニアだよね
- そんなわけで私が話したこと
- ヒロハタはどう進むが良いのだろうか
ヒロハタは「広島の鷹野雅弘」を育てるのが目的ではないのか
このウェブ分野は、「Web等の活用による事業化を目指す!」というのがテーマである。 なので、中間発表の審査基準は、
- 新規性・独創性
- 市場性・成長性
- 実現性・収益性
- 熱意・表現力
なるほど。スタートアップを評価する基準としては一般的だ。
ところで、このヒロハタの指導者をみてみよう。
プロフィールをみてみよう。
株式会社スイッチを1996年から経営(現在、19期目)。コアスキルは、グラフィックデザイン、DTP(プリントメディア)やWebの制作。 デザインだけでなく、ビジネスドキュメントの制作などにも精通。これらに関して講演や教室でのトレーニング業務などを20年以上にわたり行っている。 Web制作者向けのセミナーイベントCSS Niteを主宰。400回を超える関連イベントを通して、参加者はのべ50,000人弱。 都内での開催を中心に、全国23の都道府県、および韓国にて展開。 年間200万ビューのDTPに関するブログ「DTP Transit」を運営。 テクニカルライターとして20冊以上の著書を持つ。1万部を超えるヒット作を連発し、総販売数は14万部超。 そのほか、書籍の企画編集、スクールのカリキュラム開発などを企画する。
審査基準は良いスタートアップかどうかである。指導者のコアスキルはグラフィックデザイン、ウェブ制作である。 さて、指導者の指示に従って行動することで、素晴しいビジネスプランできるのだろうか。とても疑問である。実際、指導者が進む方向と、審査基準がズレていたと思う。
その結果、今回の審査結果は、ビジネスプランとしてはどれも弱いため、「優秀なプランはない」という結果になったようだ。
当たり前だ。はじめからわかってたよ!
ここで知事の記者会見を見てみよう。
一定の分野で人を惹きつけるチカラのある人材を核として、磁石にくっつくような形で人材を集積を拡大してくれぇ、というのがいろんなところで見られまして(中略)この人材集積の効果を狙って、人を惹きつけられる人を来てもらって、いろんな活動をすることによって高度人材の定着を狙ってすすめるものであります。
本来の目的を考えると、「広島の鷹野雅弘」を育てるのが目的だと思うのだけど、違うのだろうか。
指導者の立場。カタリスト。
指導者として設定された、鷹野さんは事業化を目指すという観点では自身が指導者としては的確でないのは理解されている。 この記事をみればわかる。
最初にかいてある。
ヒロハタ(ひろしま発人材集積促進プロジェクト)は、創業支援ではありません。
現実のカタリストと広島県の思う指導者のズレをまず解消して欲しいところである。
言わば、これはちゃぶ台返しである。
スタートアップに必要なのはウェブデザイナーよりもまずエンジニアだよね
このヒロハタはリーンスタートアップで進めるという方針が打ち出されている。 さて、みなさんはリーンスタートアップやRunning Leanを読まれただろうか。 これらを読んでみると、明らかにエンジニア向けの本である。 しかし、ヒロハタが募集したのは、アイディアをもった人である。 Running leanを読めば、エンジニアでなくても取り組めることがあることはわかる。 しかし、アイディアを実現するためにエンジニアをマッチングしてあげるべきなのではないだろうか。
全く無視である。 カタリスト、アシスタント、自治体の人はまずみんな読んでおくべきなのではないのでしょうか。
スタートアップができるのはIT技術の発展でITエンジニアがひとりでもサービスが提供できるようになったことや、3Dプリンタでプロトタイプが簡単に作れるようになったからだと最近思ってるんだけど違うんだろうか。
実際、こういうことがしたいのであればスタートアップウィークエンドやハッカソンをやるべきだろう。 広島県はすでにハッカソンをやっているじゃないか。
そっちの優秀賞に奨励金を出せばいいと思う。
これは「広島県商工労働局 産業政策課」という譌がやっていて、ヒロハタは「広島県地域政策局 都市圏魅力づくり推進課」であるため、まったく連携しないようだ。とてももったいない。
そんなわけで私が話したこと
そんなわけで私が伝えたかったこと
- プログラマが魅力的な職業であること
- 自治体と市民が協力すべきであること
- ソーシャルのチカラを使うためにみんなが同じ目的をもって進むこと
発表スライドはこちらである。
伝えたいことを伝えるのに、ぎりぎり事業というキーワードを擦り、もっとも適していると思ったのがCode for JapanのBrigate支援業務である。
そんなわけで、ヒロハタがソーシャルのチカラを借りるために、僕が放った言葉は以下のとおりである。
ひとりひとりのチカラは小さいけれど、小さな積み上げが広島をもっと楽しくする! #hirohata
— ヒロハタ (@HiroHataP) 2015, 7月 25
ヒロハタはどう進むが良いのだろうか
ヒロハタはこれからどうすすむと良いのだろうか。僕が思うに二つある。
- 「事業化を目指す!」をもっと本格的に
- たくさんの人を巻き込める魅力的な人材を育てる
事業化というテーマを崩さないのであれば、ちゃんと事業化を目指すために必要な講師を呼ぶべきだと思う。 この場合は鷹野さんが指導者という立場で講師を選定したり、現状のプロジェクトについて講師にフォローをしていくという流れになるのが良い気がする。 しかし、前述したが、それは広島県はハッカソンやってるんだからそっちを活かして欲しい。
となると、「たくさんの人を巻き込める魅力的な人材を育てる」である。
これはそこそこはうまくいっている。「楽しい広島100人」である。これは「北海道の楽しい100人」の広島版である。 これはヒロハタのキックオフイベントのスピーカーとして、「北海道の楽しい100人」の佐藤 みつひろさんが登場し、結果いろいろあって誕生した。
勝手な想像だが、この広島の楽しい100人はヒロハタの目玉プロジェクトとされ、中間発表会で優秀賞をとり、他の参加ユニットを牽引する立場になるシナリオだったんじゃないかと思う。 しかし、結果は「ビジネスプランとしては弱い」である。
そんわけで最終的な発表会では、「たくさんの人を巻き込めた」という審査基準が入ると良いのではないだろうか。(知らんけど
まとめ
このプロジェクトの本質からいうと「広島の鷹野雅弘」を育てるべきな気がする。
実は「広島の鷹野雅弘」もういるんだよ。そうアシスタントの三人である。
- 藤本 勝己 - WEB TOUCH MEETING 主催 - CSS Nite in HIROSHIMA 実行委員長
- 薬師神 裕樹 - UX HIROSHIMA 代表
- 神守 由理子 - 広島でコンクリ 代表
こういった人たちと協力して広島を盛り上げるイベントを用意するのが県の仕事なんじゃないだろうか。
最後に的確なツイートがあったので紹介しておこう。
広島県は種を蒔いて育てるんじゃなくて、木を植えようとしてる気がする。 #hirohata
— takanashi66 (@takanashi66) 2015, 7月 25
さて、どうすれば自治体との良い連携ができるのか。道はまだまだ厳しそうだ。
僕はどうしたいっかって?広島がエンジニアにとって楽しい街であり、普通の人も住むのにとても便利な街になればいいと思う。そのために、生活に負担のない範囲で活動することである。
追伸: そういえば、ヒロハタへの参加者はまだ募集しているそうです。審査基準が変わらない場合は、すでに素晴しいビジネスモデルで活動中のスタートアップはとても有利だと思いますので、ぜひ。